登り窯、穴窯、単独薪窯で焼成している皆様、炉内壁コーティングは行われておりますか?
昔から窯出し後に、まだ少しほてりが有るうちに手ドロと窯砂で合わせてドロ状にした物を杉葉にひたし、窯に叩きつけて
炉内壁をコーティングしたものです。
長年コーティングしていてもその厚さは3o〜5o程ですが、そのお蔭で内部のレンガあるいは立切り(地方によって呼び名が違いますが粘土で作った大型レンガ状の物)を保護して、古い窯でもその性能を維持できるすぐれた工法でした。なぜ、そのすぐれた技法技術がいつから無くなったのでしょうか。
代々続いた窯元なら継続して行われたでしょうが、今までガス窯・電気窯を利用し焼いていた陶芸家さんが登り窯に推移した時にその技術が途絶えたようです。
窯は自分で作るか窯師が作りますが窯師は炉内コーティングは行いません。
窯師はレンガで作り上げたら目地はきれいにふさぎ仕上げるだけです。その後のコーティングは窯元の仕事になります。
コーティングをしなくても最初は良く焼けます。20回位焼くとレンガ内部に木材の灰が浸透していきます。レンガは表面に光沢が出てきれいにピカピカになっていきます。人によっては熱が反射して良い状態になり焼きやすくなったという人がいますが、そうではないのです。
レンガ表面に付着した灰は、窯を焼く度にますます内部へ浸透していき、レンガを割ると3p位に到達します。そうなると焼いても中々温度が上がらず良い作品が出来にくくなり、窯を作り替えることになってしまいます。
つづきは後日追記します。
窯師 川尻 浩史